- 2026年 5月 21日
2026年個人情報保護法改正案では、
- Cookie
- 課徴金制度
- 委託先管理
が重要テーマとして注目されている。
これらの全体像については、
「2026年個人情報保護法改正案 Cookie規制・課徴金・委託先管理の3大テーマと『今から備える』実務対応」
で整理したところだが、本シリーズでは、各テーマについて実務上の論点をより詳しく解説する。
第2回となる今回は、改正法案で導入される「課徴金制度」を取り上げる。
1.課徴金制度とは?
課徴金制度とは、一定の法令違反行為によって経済的利益を得た場合に、その利益を基準として金銭的不利益を課す制度である。
独占禁止法、金融商品取引法などでは既に導入されているが、今回の改正で、個人情報保護法にも課徴金制度が導入されることとなった。
その制度趣旨としては、
「個人データの利活用に関する規律遵守の実効性を高める」
「違反行為の経済的誘因を縮小する」
などが挙げられる。
2.どのような行為が対象となるのか
課徴金の対象行為は、個人情報保護法に違反する全ての行為ではない。
現時点の改正法案では、主として、
- 不適正利用
- 不正取得
- 本人同意を得ない第三者提供
などが対象行為とされている。
もっとも、改正法案では、
「対象行為に該当すれば直ちに課徴金対象となる」
という整理ではない。
課徴金の対象となるのは、一定の対象行為が行われ、かつ、当該違反行為によって対価を得た場合である。
課徴金の対象行為や要件の詳細については、関連記事
「【個人情報保護法・改正法案】課徴金は、違反行為の全てが対象となりますか?」
も参照されたい。
3.実務では「データ利用実態の把握」がポイントに
今回の課徴金制度導入を踏まえると、実務担当者としてまず意識したいのは、
「自社でどんなデータを、何の目的で、誰が利用しているのか」
という利用実態を、データマッピングなどで整理・可視化しておくことだ。
近年では、企業が
- Webサイト上のCookieや広告ID
- CRM
- MAツール
- AIサービス
- 外部SaaS
- データ分析ツール
など、外部ツールやデータ活用基盤を利用する場面が急速に広がっている。
例えば、
「企業の部門ごとに個別ツールを導入した結果、実務担当者が個人データの取得・利用実態の全体像を把握しきれていない」
というケースは、実務上比較的生じやすい場面だろう。
そのため、今後は、データの利用実態の整理・可視化が、これまで以上に重要になると考えられる。
以下では、実務上、特に確認しておきたいポイントを整理する。
4.確認しておきたい実務対応
(1)データフローの可視化
まず整理しておきたいのが、
「どのデータが、どこから取得され、どこへ連携されているか」
というデータフローである。
前述した外部ツールやデータ活用基盤などを含めて、把握・管理しておくことが考えられる。
(2)利用目的と利用実態の確認
実務では、
-
- プライバシーポリシー
- 社内説明
- 実際のデータ利用
の間に差異が生じるケースもある。
特に、
「当初想定していなかった用途に、徐々に活用範囲が広がっている」
という場面は少なくない。
利用目的との不整合が直ちに課徴金対象となるわけではないものの、当初の利用目的と利用実態との間に乖離が生じている場合には、結果として個人情報保護法上の問題が生じる可能性もある。実務上は、継続的にデータの利用実態を確認していくことが重要だろう。
(3)記録・ログ管理
今後は、
-
- 第三者提供記録
- 同意取得ログ
- 委託先管理記録
など、一定の証跡管理の必要性が高まる可能性がある。
特に、個人データの利用実態や同意取得状況について、後から説明・確認できる状態にしておくことは、実務上重要になると考えられる。
(4)関係部門との連携
個人情報保護対応として、法務部門だけではなく、マーケティング部門、IT部門、セキュリティ部門、DX推進部門なども含め、組織横断的にデータ利用実態を把握・管理していく「データガバナンス」を構築することが重要だろう。
5.まとめ
2026年改正個人情報保護法案における課徴金制度については、現時点では、今後のガイドラインやQ&A等を待つ必要がある部分も多い。
しかし、実務担当者としては、単なる制裁強化として捉えるよりも、
「どんなデータを、何の目的で、誰が利用しているのか」
「データの利用をどのように整理・管理していくか」
という観点から、
- どのような制度が導入されるのか
- 企業としてどのような準備が考えられるのか
を整理しておくことが実務上有用だろう。



