- 2026年 6月 10日
2026年個人情報保護法改正案では、
- Cookie
- 課徴金制度
- 委託先管理
が重要テーマとして注目されている。
これらの全体像については、
「2026年個人情報保護法改正案 Cookie規制・課徴金・委託先管理の3大テーマと『今から備える』実務対応」
で整理したところだが、本シリーズでは、各テーマについて実務上の論点をより詳しく解説する。
第3回となる今回は、改正法案で見直しが予定されている「委託先管理」を取り上げる。
1.委託先管理はなぜ注目されているのか
現在、企業では
- クラウドサービス
- MAツール
- CRM
- AIサービス
- データ分析ツール
など、外部事業者が個人データを取り扱う場面が広がっている。
その結果、
「どの委託先で、どのような個人データが取り扱われているのか」
を、委託元企業が十分に把握しきれないケースも生じやすくなっている。
こうした状況を踏まえ、今回の改正法案では、データ処理等の委託を受けた事業者について、委託された個人情報の目的外利用を禁止する規定(30条の3)が新設されている。
2.委託先管理はどう変わるのか
現行の個人情報保護法でも、個人データの取扱いを外部事業者へ委託する場合には、委託元企業に「必要かつ適切な監督義務」(25条)が課されている。
そのため、従来から、
- 適切な委託先の選定(安全管理措置の確認など)
- 委託契約の締結(契約条件の整理など)
- 委託先における個人データ取扱状況の把握(再委託先の管理など)
などは、実務上重要な対応とされてきた。
今回の改正法案では、これに加え、データ処理等の委託を受けた事業者について、委託された個人情報の目的外利用を禁止する規定(30条の3)が新設されている。
委託関係について、従来は、委託元企業に対してのみ監督義務が課されていたが、改正法案では、委託先においても、委託された個人情報の目的外利用が直接禁止される点が特徴である。
3.実務では「委託先の利用実態把握」がポイントに
このように、今回の改正法案では、委託先による個人情報の目的外利用が直接禁止されることとなった。
そのため、委託元企業としても、
「どの委託先が、どの個人データを、どのような目的で利用しているのか」
という利用実態を、これまで以上に把握・管理していくことが重要になると考えられる。
また、委託先側においても、委託された個人情報を委託目的の範囲を超えて利用した場合には、法令上の問題が生じる可能性がある点に注意が必要である。
クラウドサービス、MAツール、CRM、AIサービス、データ分析ツールなど、委託先の種類が多様化する中、「現場部門が個別にツール導入を進めた結果、委託先における個人データの利用状況を十分に把握しきれていない」というケースも、実務上比較的生じやすい場面だろう。
そのため今後は、
- 委託元企業における、委託先での個人データ利用状況の継続的な把握・管理
- 委託先における、委託された個人データの目的外利用の防止
などを含めたデータガバナンスが、これまで以上に重要になるだろう。
4.委託先管理で確認しておきたいポイント
今回の改正法案を踏まえると、実務上は、以下のような点を確認・整理しておくことが考えられる。
- 委託した個人データ/委託を受けた個人データの利用目的や利用範囲
- 再委託の有無や再委託先の範囲
- 委託契約における安全管理措置や有事対応
- 委託先における個人データの利用状況の確認方法
- 関係部門間での情報共有体制
5.まとめ
2026年改正個人情報保護法案における委託先管理については、現時点では、今後のガイドラインやQ&A等を待つ必要がある部分も多い。
しかし、実務担当者としては、単に契約書を整備するだけではなく、
- どの委託先で、どの個人データが、どのような目的で利用されているのか
- どの委託元から、どの個人データを受け取り、どのような目的で利用しているのか
という利用実態を継続的に把握・管理していく視点が、これまで以上に重要になると考えられる。
今後の制度動向も踏まえながら、
- どのような管理が求められるのか
- 企業としてどのような準備が考えられるのか
を整理しておくことが、実務上有用だろう。




