- 2026年 8月 13日
2023年6月に施行された改正電気通信事業法では、一定の事業者が利用者情報を外部へ送信する場合について、「外部送信規律」が設けられた。この規律は、一般的に、Cookie(クッキー)等を利用した利用者情報の外部送信を行う場合のルールとして説明されることが多い。
近年、企業のWebサイトで、問い合わせ対応や商品・サービスの案内などを目的として導入されているAIチャットボットには、この外部送信規律が適用されるのだろうか。
1.外部送信規律はどのような場合に適用されるか
まず、どのような場合に外部送信規律が適用されるかを確認しておこう。
外部送信規律は、①電気通信事業者又は②第三号事業を営む者(※)のうち、ブラウザやアプリ等を通じて以下■のいずれかのサービスを提供する事業者が、利用者情報を利用者以外の者に送信するためのプログラム等を利用者端末に送信する場合(上述の通り、一般的に、Cookie(クッキー)等を利用した利用者情報の外部送信を行う場合等が該当する)に適用される。
■他人の通信を媒介するサービス(例:メール、ダイレクトメッセージ、ウェブ会議)
■コンテンツ配信サービス(例:SNS、電子掲示板、動画共有サービス、ストリーミング、モール(複数出品者)、シェアリング)
■検索サービス
■不特定の情報提供者から不特定の閲覧者への情報提供サービス(例:ニュース、気象情報、動画、オンライン地図等)
2.なぜAIチャットボットで外部送信規律が問題となるのか
AIチャットボットでは、サービスの種類や設定によって、Cookie IDやセッション識別子、IPアドレス、利用状況データなどが取得・送信される場合がある。
また、これらの情報は、AIチャットボット提供事業者やアクセス解析事業者などの外部事業者へ送信されることも少なくない。
もっとも、AIチャットボットを導入しただけで、直ちに外部送信規律が適用されるわけではない。自社のAIチャットボットに外部送信規律が適用されるかどうかは、「1.外部送信規律はどのような場合に適用されるか」で説明した要件に当てはまるかどうかを確認して判断することになる。
以上を踏まえ、「自社AIチャットボットに外部送信規律が適用される」と考えられる場合の実務対応については、次回以降の記事で解説する。
(※)電気通信事業者とは、電気通信事業を営むことについて登録又は届出をした通信キャリアや回線事業者等をさす。また、第三号事業を営む者とは、電気通信事業者以外の者であって、通信の媒介以外の電気通信役務を電気通信回線設備を設置することなく提供する電気通信事業(第三号事業、法164条1項3号)
なお、ここでいう「電気通信事業」は、電気通信役務を「他人の需要に応ずるため」に提供する場合を指す(法2条4号)。もっぱら自社の製品やサービスの販売等を行うWebサイトの運営事業者は、通常、「電気通信事業を営む者」には該当しない。
関連記事
本記事で外部送信規律との関係を解説した。AIチャットボットに関するその他の論点については、以下の記事も参考にしてほしい。




