【論説】タグの”発火”はNGワード!使用をやめます


世界各国のクッキー規制の強化に伴い、弊社ではお客様のウェブサイトへのクッキーバナーの実装をご支援する機会が増えてまいりました。お客様との商談や、セミナーなどでクッキー規制やクッキーバナーの実装についてお話をする時に、よく使っていた言葉が本記事タイトルにある”タグの発火”です。”クッキーの発火”と誤用されることを日本語でも英語でもちょくちょく見かけますが、実際は”タグの発火”です。語源は英語から来ていると思われますが、fire tags to set cookies といったセンテンスが使われることが多く、弊社のパートナーでクッキー同意管理ツールの開発元である米国OneTrust社のエンジニアもよく使っている表現です。日本でもこれを直訳した”タグの発火”や”クッキーをセットするタグを発火する”という表現が割と一般的に使われていますが、なんとなくクッキーの技術的な挙動を的確に表している雰囲気があり、我々コンサルタントも商談時に、セミナー時に、そして提案資料にと、頻繁に使用していました。特にクッキー規制やクッキーバナーの実装について、ウェブ制作会社様やデジタルマーケティング業界の企業様とお話をする際は、共通認識の元で通じやすい用語として違和感なく使っていました。

そんな折、ある製造業のお客様より一つご指摘を頂きました。

「“発火”というのは我々製造業においてタブーとされている、表現を変えてもらえないでしょうか?」

このご指摘には頭をかち割られた気持ちでした。製造業において”発火”という言葉は事故を連想させる言葉であり、工場などの製造現場ではもちろん、オフィスにおいても敬遠されている言葉です。こちらのお客様はグローバル展開をされていらっしゃる製造業様で、グローバルウェブサイトへのクッキー規制対応で弊社にお声がけをいただき、弊社でご支援を進めておりましたが、私の作成したお客様社内向けのご説明資料が発火だらけになってしまっていました。深く反省をした次第です。

製造業だけに限らず、業務に危険を伴い、安全を第一とされている業界において、事故を連想させる言葉を使うのは非常に不謹慎です。私は学生時代に様々なアルバイトを経験しましたが、製造工場だけでなく、例えばある運送業者、建設業者などでも、危険予知活動の浸透、訓練が徹底されており、また、挨拶は”おはようございます”や”お疲れ様でした”の代わりに”ご安全に”が使われていました。今回の件では、昔の経験も思い出し、様々な業界で多くの企業が日々の業務の安全な遂行にシビアに取り組んでいらっしゃる、ということを再認識しました。今回、たとえウェブ制作やデジタルマーケティングの業界では日常的に使われる便利な言葉であっても避けるべき言葉、それが”発火”でした。

お客様にご指摘頂いた内容は社内のチームに報告、すぐに事業責任者より、今後タグの発火という表現は商談での会話、あらゆるコンテンツにおいて控えよう、という決定がされました。但し、言葉狩りをする意図はありませんので、従来通りデジタルマーケティング業界の方々が”発火”という言葉を使われるのを非難したり、変更を強要したりするようなつもりは一切ございません。

この場を借りて宣言いたします。

タグの発火、我々はこの言葉の使用はやめます。

それでは、発火に代わる適切な表現は何でしょうか?クッキーはブラウザに設定される小さなテキストファイルですが、JavaScriptなどを使ってウェブサイト上に書かれたタグが、ウェブサイトにアクセスしたユーザのブラウザにより読み込まれることで発行されます。そのため、正しい表現としては、例えば以下のようになるかと思います。

・タグが読み込まれて、クッキーが発行される

・タグがロードされて、クッキーがセットされる

今後は表現方法に十分に気を付けながら、引き続き企業様の支援を行ってまいりたいと思います。皆様も、もし同様に社内や社外の方に対してクッキーに関するお話をされる機会がありましたらご参考として頂ければ幸いです。

関連記事

個別説明をお申込希望の方

個別説明をお申し込み希望の方は以下のフォームをご記入の上、送信ボタンを押してください

*のある項目は入力必須です。